体から何本もの手が生えている観音さまと言えば千手観音だね。
たしかに、他の菩薩さまや仏さまは手が人間と同じ二本しかないのに、千手観音だけ手があんなにたくさんあるのか、疑問に思うかもしれないね。
実際は千手観音という名前でありながら、千も手がある仏像は日本で一体だけと言われているんだ。
仏教で使われる「千」という数字は「限りなく多くの」という意味で使われることがあり、この千の手は、人々のさまざまな願いのすべてに答えるために生えている。
正しい名前は千手千眼観自在菩薩で、
千本の手がありその手の掌には目が付いているんだ。
手は多くの人々に救済の手を差し伸べ、
目は人々を教え導く知をあらわすとされてる。
このように千の手と目はどんな人達でも漏らさず救済しようとする広大無限の慈悲の心を表現しているということになる。
千手観音は観音の中でも功徳が大きく、
観音の中の王という意味で「蓮華王」と呼ばれることもあるんだ。
阿修羅や金剛力士などの二十八部衆を配下にしていることもある。
また六観音の一つに数えられ餓鬼道に迷う人々を救うともいわれている。
寿命を延ばしたり、罪を失くしたりする功徳があるとされ、平安時代に多く作られた仏像で、唐招提寺に祀られた実際に千手有る千手観音像、京都三十三間堂の一00一体もの千手観音が有名だね。
観音さまは我々衆生が望まれた形に姿を変える菩薩とされるんだけど、私たちの数限りない煩悩を解決するがための姿としてあんなにも多くの手をはやしてしまったのかもしれないね。
そう考えると人の醜さが露呈してしまうようで少し嫌な感じがするけど、そんな人の願いを叶えたいとする観音様のお慈悲はありがいたいね。
千手観音様にお参りする機会がありましたら、
「こんなに手をはやしてくれてありがとうございます」
とココロの中で思うことで、自らを反省することができるかもしれない・・・
南無阿弥陀仏