実がついたザクロの枝を持ち、 優しく赤ちゃんを抱く天女・鬼子母神のことだね。
彼女は安産と子育ての守護神なのだが、 実は過去に暗い秘密を持っているんだ。
そしてその秘密は彼女自身が手にしているザクロの実にも関係している。
鬼子母神は元々大変に多産な母で、 千人もの子を産み、育てていたといわれる。
しかし、この母がとんでもない母で、 自分の子は猫可愛がりするが、 他人の子は手あたり次第とっては喰らってしまう鬼のような母だったんだ。
これを見たお釈迦さまは、 こらしめるために彼女の末の子を取り上げ隠してしまわれる。
鬼子母神は最愛の子が消えてしまったのを知り、 狂ったように探すのだがどうしても見つからない。
おおいに嘆き悲しんで、お釈迦さまの元までやってきた。
お釈迦さまは「千人もの子のうち一子すら失ってもそれほど悲しむのに、 おまえは人の子を喰らっていた。大切な愛児を奪われた親の胸中はどうだ?」 とたずね末の子を返してやったんだ。
鬼子母神は自分の非行を悔い、それ以降は、 他人の子の代わりに、人の味がするというザクロを食べると誓い、 仏教に帰依したそうだよ。
この仏像は日蓮宗の寺院に多く祀られ、 人々に善く愛されている。
時代が違うとはいえ、とても怖い話だね。
仏教の教えは反省の教え。
深く懴悔した鬼子母神はお釈迦さまの教えに帰依し、 正しい道へと歩み出したんだ。
結果として善い行いが伝承し安産や子育ての神として 祀られるようになったんだね。
合掌
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