2025年5月のネット法話「休息と内観」
- 副住職
- 6 日前
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無事にお彼岸を終えたあとは、 お釈迦様のご生誕をお祝いする花まつりです。
浄楽寺でも先日、「大楠花まつり」イベントを無事に終了しました。
はなまつりとは元々、灌仏会(かんぶつえ)と呼ばれる、 お釈迦様の追善供養をするとともに、ご生誕を喜ぶ機会のことです。 お釈迦様はお生まれになってすぐに七歩歩き、「天上天下唯我独尊」と言われました。 伝説によれば、天龍はその生誕を祝福し、 甘露の雨を降らせたとされています。 その故事にならい、 花まつりでは右手を上に左手を下に指さした誕生仏のお像にひしゃくで甘茶をかけてお祝いします。 甘茶を仏に灌(そそ)ぐことから灌仏会と呼ばれています。 浄楽寺では以前から五月に花まつりを行っていました。 法要は行われませんでしたが、本堂には誕生仏を祀る花御堂を設け、 静かにお祝いしてきました。 しかし、この花まつりこそ仏教に触れてもらういい機会だと思い、 三年前からイベント化して「大楠花まつり」として開催してきました。
開催してみて気づいたことは、「仏教離れ」が起きていないということです。
参加される方の多くが「お釈迦様の誕生日をお祝いできることが嬉しい」 「仏教のことを知れてよかった」といった感想を持たれているようです。
近年、無宗教の人々が増えていますが、 それは信仰に触れる機会が減少し、「物質」を重視し、 目に見えないものを軽視する傾向にあることが原因です。
しかし、現代は経済の時代から心の時代へと移行しています。
物質を手に入れることの価値が見直され、
精神的な幸福を求める声が高まっています。
お金や物は生活において必需品です。
無くては生活できません。
でも、それらが幸福を生み出すことはないと人々は気づき始めているのです。
家族のつながり、人とのつながり、そして自然への感謝。
自分を取り巻く環境の中で自分がどういう存在でいれるか、 どう生きることができるかという価値感を若い世代は持ち始めています。
仏教は哲学とも宗教ともいわれ、世界で注目されています。
多神教である仏教は他を阻害しません。
共生と共感を大切にします。
自分だけでなく他をも利することを重要視します。
自分だけ幸福ということはあり得ない、 周りも幸せで自分も幸せになれるという考えです。
花まつりを通じて、 参加者が仏教の価値観に触れる機会となっていると考えます。
苦しみから離れ、幸せな生と意味ある生を過ごすこと。
仏教が現代でも有する大きな可能性を再確認する機会でした。
南無阿弥陀仏