「夕焼け小焼けで日が暮れて、山のお寺の鐘が鳴る…」 と童話に歌われる鐘、つまり梵鐘は朝と夕方に、十八回、三十六回、あるいは百八回つかれることは知っていたかな?
最近はつき手がいないことやご近所の苦情から突かないお寺もあるようだけど、 お寺には鐘のイメージがあるよね。
普段から聞こえる鐘は時刻を知らせるためについているのだけど、 本来はそういった目的ではないんだ。
平家物語の 「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色,盛者必衰の理をあらわす…」
とも言われる通り、鐘は無常の響きを表している。
生者必滅、生まれるものは必ず滅する時が来る、 会者定離、出会うものにはいつか別れがやってくる、 生まれては日々年老いるように、この世には同じであることが継続することはない、 これを無常といい、仏教の中でも大切な真理のひとつだね。
一度鳴ると必ずその音は厳かに消えていく、 これぞ無常の響きであると平家物語では言われているね。
一番身近なのは除夜の鐘かな。
日々の鐘撞もそうだけど、 除夜では百八回の鐘をつく。
これは人間の苦悩の根源である煩悩の数が百八あり、 鐘の音がその一つ一つを打ち消していくということに由来する。
つまり、鐘の音に無常の理を感じる中で、 自分の中にある浅はかな欲を改めるということなんだ。日本における鐘の歴史は古く、 日本書紀には「大伴狭手彦が562年、高句麗から日本に持ち帰った」との記録が残っているが、現存する最古の梵鐘は奈良・法隆寺の金堂の背後にあるものと言われている。
日本で最大のものはゆく年くる年の常連、 総本山知恩院のものでその重さは70トンもあるそうだよ。
やはり一つ一つに意味があるのだね。
合掌
#鐘
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