お賽銭箱にはチャリンと小銭を入れて、 鈴や鐘(時々、数珠)を鳴らしてから手を合わせて心から祈るね。
5円が「ご縁」で50円が「五重の縁」などといって、 財布から小銭を探している人を見かけることもあるけど、 人それぞれの胸のうちに、「家内安全」「商売繁盛」「合格祈願」などを唱え、 幸福な日々のために仏の加護を仰ごうというわけだね。
お賽銭は、ともすればなにか、 願い事をお金で叶えてもらおうという下心のように思われることもあるが、 実はそうではないんだ。
もともと仏教では、 祈願や祈祷は行われていなかったのは知っているかな。
しかし、人々の生活に密着し、密教の発達も受けて、 仏教はいろいろな形で「祈り」を取り入れてきたね。
現在では、浄土真宗を除くほとんどの宗派に祈願があるんだ。
お賽銭は、いつの時代にも、 幸福を求める人間の気持ちを表しているといえる。
自分の祈りの心を一握りの金銭に託し、 とらわれ・こだわりの心を捨てたいというものなのだね。
だから、お賽銭は、お金をあげなければいけないものなのではなく、 祈る気持ちそのものともいえる。
特に金銭を納めるようになったのは近年のことだしね。
また、神社に納めるお賽銭は神様への感謝という意が強いけど、 お寺でのお賽銭は「浄財」と書かれているとおり、 穢れの無い浄らかな(利を求めない)財を喜捨(布施)するという意味もあり、 穢れを払うという意味も含んでいるね。
祈る気持ちとお参りの心こそがお「賽」銭ということはわかったかな。
とはいえ、仏さまとのご縁が細くならないよう、 賽銭の時だけではなく、日々に祈りを形にすることをお勧めするよ。
南無阿弥陀仏
#お遍路さん