一般的に袈裟(けさ)というと、 インドやネパールのお坊さんがまとう一枚の布切れを思い浮かべるかな?
それとも日本のお坊さんの鮮やかな衣を想像するかな?
いずれにせよ俗人にとってはとても神聖な着物にみえるかもしれない。
でもね、これはもともと捨てられた布切れをつなぎ合わせて、 明るい原色を避けた「壊色(えじき)」という色に染められた廃棄利用の布であることは知っていたかな。
袈裟は、梵語でカサーヤというけど、 この言葉はもともとこの壊色の色を指すものだったんだ。
つまり袈裟とは本来法衣の色を指すものと言える。
現在でこそ袈裟は、 儀式用の衣として非常に華やかなものもあるけど、 従来は出家者、つまりすべての欲望を捨てた者の衣としてとても質素なものだったんだ。
インドの仏教教団では、出家僧が持つ袈裟は、 三種類に限られていてね、持ちものといえば三衣(さんえ)と一鉢だけだったんだ。
こうしてインドでは、 袈裟一枚の修行生活が送られていたけど、 仏教が北方に伝わり、中央アジアや中国に僧侶が増えると、 これだけでは寒さをしのげず、しだいに下衣を重ねるようになり、 のちにこれが法衣となっていったんだ。
日本では下に着る衣は「法衣」、 そして肩を出すように来ている布を「袈裟」と呼ぶ。
宗派によって違いはあれど、どれも右肩が抜かれている。
これは仏像を見てもらえればわかるけど、 仏さまと同じ姿をしているね。
相手に敬意を表すインドの風習からとも言われている。
日本では法衣はとても高価なものである。
1000万円クラスのものもあるから驚きだ。
ある意味こういったものを所持しているのは
格ではなく裕福なことの象徴にもなっている。
衣で見栄を張らず、 心で布教してほしいものだね。
合掌