4月のネット法話「法然上人のこころ」

例年、四月は浄土宗宗祖法然上人の追善供養が御忌法要として行われます。
既に大本山における今年の御忌法要はコロナウィルス感染症の情勢を鑑み中止の発表がなされています。
さらには、ついに、東京オリンピックまでもが延期となってしまいました。
先の収束が見えない疫病は世界中を不安に陥れています。
承安五年(一一七五)上人四十三歳の春、浄土宗を開宗されたその年も疱瘡という伝染病が流行していました。
なぜこのような年に法然上人は浄土宗を開宗したのでしょうか。
この時代は政権を争う内乱が相次ぎ、飢餓や疫病がはびこるとともに地震など天災にも見舞われ、人々は不安と混乱の中にいました。
しかし、仏教は貴族のための宗教と化し、不安におののく民衆を救う力を失っていたといいます。
仏教は「どのように生きていくべきか」を説いた教えでありますが、同時に、生き抜いた後の死後の世界についても説かれています。
そんな時代だからこそ、法然上人は民衆にも「この世での行いが死後の世界を決める」、「誰にでも救われる道はある」と一刻も早く教えを伝えなくてはと思ったのではないでしょうか。
心が不安でいっぱいになると冷静な判断ができなくなります。心配で心が疲れてしまいますと、益々自分のことしか考えられないような私たちです。
この惨事の後にも続く命もあります。
生活もあります。
「今自分に何ができるのか」、自分の心に問いかけ、日々の生活を大切にしてまいりましょう。
しかし、何事も一人で考えるのが最善とは言えません。
恥ずかしがらずに頼る心も大切です。
「困ったときの助け合い」素直に行うことができればきっとその先に今よりも明るい未来が見えてくるのではないでしょうか。
また、この命の最後には頼れる阿弥陀様が極楽浄土への案内人です。
南無阿弥陀仏のお念仏を忘れず、邁進してまいりましょう。
合掌
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