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副住職

ネット法話「文化の日」


祝日は年間で十六日あるそうですが皆さんはすべての祝日を説明できますでしょうか。

子どもの頃から祝日はうれしいうれしい「学校が休みの日」。そんな楽しいイメージしかありませんでしたが、今になって祝日の意味を考えるわけです。

どれくらいの人が「今日」に焦点を当てて生活することができているのでしょうか。

そんなことまで考えてしまいます。

本日も祝日「文化の日」でございます。

ご存知のように文化の日は一九四六年に日本国憲法が公布された日であり、日本国憲法が平和と文化を重視していることから「文化の日」と定められました。

ですがこの「文化の日」と定められるまでには戦後のGHQと日本政府の駆け引きがあったのは有名なお話です。

天皇崇拝を弱め団結力の解体を目指したGHQとしては天皇誕生日として祝日を残すわけにはいかない。ですが、敗戦後とはいえまだまだ心のよりどころとされていた明治天皇の誕生日です。もちろん邪険に扱うようなことがあってもなりません。

一時はこの祝日自体がなくなりかけたそうですが、GHQから「祝日として定めるとしたら何の日がいいかな?」そんな提案をいただき、苦肉の策として「文化の日」として定められたそうです。

本当に一つとして意味のないものはなく、それぞれに歴史がありますね。

この文化の日はそういった意味でも「戦争」と分離して考えることはできそうにありません。

先日、神奈川教区三浦組の部内の十夜法要でお説教師として来寺されていた宮澤正順先生とお会いしました。

御年八十九歳。

お年を感じさせない行動力と考察にいつも勉強させていただいております。(本当にアクティブで焦りを感じるほどです)

宮澤先生の自坊「西福寺」には戦争の悲惨さを伝えるためゼロ戦のプラモデルが飾られているそう。

写真を見せていただきました。

「勝てるはずもない戦だったんだよ」

先生には戦争で多くの親しい命を失う経験がありました。

海外をよく知る当時の人間は、「アメリカとは絶対に戦争してはいけない。3日で敗北だ」とそのテクノロジーに感服していたそうです。

戦争で幸せになる人はいません。

大きな意志が交差する中、違う選択肢もあったのでしょうか。

大先輩から戦争の話を聞くといつも思います。

戦争を直に経験された皆様の生の声を聞けるのはあと何年有るのだろうか。

リアルタイムで経験談を聞きますと、

そこには美しいものは何もなく、ただ虚しい出来事だけが他人事のように多発します。

生きた人からの声でもって、初めて、その恐怖や先人の後悔を感じることができますが、メディアや映像のみでは他人事の域を脱することはありません。

非常に貴重な時間をいただきます。

「繰り返してはいけないよ。」

先生の言葉は力強くも悲しい表情でした。

人間はその身そのままの暮らしでは

次に生まれ変わるのは「地獄・餓鬼・畜生」の三悪道であるとお釈迦様が説かれました。

戦争が起きればこの三つの世界をそのままに体験することになります。

灼熱地獄

食べるものがなく欲だけが膨れる餓鬼の道

理性なく本能のままに貪る畜生の道

争いが絶えることの無い煩悩まみれの世の中ですが、先人に習い、間違いを反省することも大切ではないでしょうか。

日々の中に平和を願い、臨終の最後には心豊かに極楽へと向かいたいものです。

南無阿弥陀仏

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