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副住職

ネット法話「十夜法要の心」


10月に入りました。

私はこの季節になりますと「そろそろ十夜だなぁ」と思うわけですが、皆様はいかがでしょうか。

テレビを見ておりますと、近年はハロウィンのイベントが盛んに行われているようです。

仮装をして子どもから大人まで楽しめるお祭りですが、もともとは悪霊を祓い秋の収穫を願う宗教的な行事でした。

しかし、イベントの形だけが浸透し信仰の心は次第に薄れていきました。

今のハロウィンを見てケルト人はどのように考えるのでしょう。

今も昔も、物事が「続く」には様々な条件がありますが、忘れられず時代と共に形を変え順応してこそ継続が可能になるわけです。

そんな中、五四二年前から行われている十夜法要は今も当時を色濃く継承している法要です。

勅許を得ているということもあり浄土宗でも大切な行事の一つですが、何よりも十夜法要に携わってきた多くの方の思いが、令和まで十夜を伝えたのではないでしょうか。

「この世での十日十夜の善行は、浄土での千年の善行に相当する。」

無量寿経でそう説かれた十夜法要は、お参りする人々にとって一つの救いの道であったろうと思います。

飢餓・疫病で苦しみ、明日を生きれるかどうかの毎日、「次の世こそは、こんな苦しみを味わいたくない、家族にもこんな思いは二度とさせたくない、次は浄土に生まれたい」と心から望んだのではないでしょうか。

その思いが南無阿弥陀仏のお念仏に代わり、十夜法要で盛大にお勤めされてきたわけです。

今の日本は物にあふれ、当時よりは豊かになったことでしょう。

しかし、本当の豊かさとは物に恵まれることでしょうか、お金に恵まれることでしょうか、病院で治療して長生きすることでしょうか。

考える必要を感じます。

様々な情報を得ることができる様にもなりました。

だからこそ、情報に流されず、私たちは自らの頭で考え、本当に自分に必要なことは何なのかを選んでいかなければなりません。

自分にとって本当の豊かさとは何なのか。

十夜法要の心は、輪廻を繰り返してきた私たち人間が、次の世こそは極楽に生れたいと望む心です。

どうにも、思い通りにならない娑婆世界であります。

そんな中、仏の教えに出会うことができたのはこの人生において一番の幸福だと思います。

私たちができる最大の善行はお念仏です。

十夜法要ではお念仏を共々にお称えいたしましょう。

南無阿弥陀仏

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