2月は如月、 その語源は「衣更着(きさらぎ)」言われていますが、 古くより衣を重ねて冬をしのいできたのでしょう。 今でも日本では一番寒い時期ですね。 コロナとインフルエンザも同時流行とのこと、ご自愛ください。
また、如月(にょげつ)には、 「寒い寒い冬が終わり、春に向かい万物が動き始める時期」という意味があります。
立春も過ぎ、花々も咲き始めております。我々も今年を精一杯生きるために動き始めなくてはなりません。
今年のお書初めでは一年間、 波乱無くおだやかに過ごせるようにと祈念して「和」という字を書きました。
和には、「おだやか、のどか、ゆるやか、あたたか、はげしくない」という意味があります。
また、対人関係においては「互いに気が合う、なかよくする、争わない」という意味を表します。
この和とは聖徳太子も「和を以て貴しとなす」と定めた通り、 日本人の対人関係を円満に過ごすための根底にある考え方です。
和をもってして初めて平穏な日々があるといえるでしょう。
法然上人は御法語の中で「当時日ごとのお念仏をもかつがつ廻向しまいらせられ候べし」と説かれています。
「日々のお念仏にてともかくも廻向するべきです」ということですが、 この言葉の中にはお念仏の生活と人社会での円満な生き方が説かれているように思います。
廻向とは「善根功徳を廻し向けること」、 つまり功徳をプレゼントすることです。
念仏は本来、自らが最後、極楽浄土に導かれるための修行です。
南無阿弥陀仏と称えれば、臨終の際、 阿弥陀仏と縁ある先立たれた皆様がお迎えに来て下さり、 阿弥陀仏の船に乗せていただき、極楽へ向かうことができます。
念仏は我々が得られる最上の功徳と説かれます。
その功徳を廻向するというのは、 「自分だけでなく、縁ある皆が救われますように」というおすそ分けの心です。
このおすそ分けの心が和を作るのです。
日本語では同じ読み方の漢字には同じ意味を持つ言葉が多くあります。
「和」と同音の「輪」がありますが、 人々が手をつなぎ笑顔でつくる「輪」はまさに「和」を表しているといえるでしょう。
我利我利の心から離れ、多くを求めず、着飾らず、こだわらず、持ち過ぎず。
与え喜ぶ心は他を尊ぶ姿勢を作り、 それはいつしか良縁の輪を作ります。
どうか廻向を忘れず日々をお過ごしくださいませ。
南無阿弥陀仏
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